外の世界と(1)
処方された薬のおかげで少しずつ、本当に少しずつですが自分の意思で体が動くようになり、ベッドから起き上がれるようになりました。
でも吐き気とだるさは常にセットで、ぼーっとテレビを観ては眠るの繰り返し。
そんな灰色の日々に両親が買い与えてくれたもの。
それは
ポケベルが身を潜め、普及し始めた頃の…初期の携帯電話。
ベッドの上が世界の全てだった私が外界の一部と繋がった瞬間でした。
当時はまだインターネットなんて今のように普及していなかったので、
携帯でネットの世界を歩くのがとても楽しかった。
携帯とかって多少気持ち悪くてもいじれる。むしろいじることで気が紛れたりするじゃないですか。
当時の私もそんな感じでした。
携帯をいじっている時は少し気が紛れた。
私の携帯はDocomoだったんですけど、当時のメールサービスの一つに
『フレンドメール12』というサービスがあったのをご存知でしょうか。
Docomoメールを12人一斉に送信することの出来る…
今でいうとグループLINEのようなサービスがあったんですね。
そして当時、その『フレメ』を使って同じ趣味を持った人同士でメールのやり取りをするのが流行っていたんです。
私は早速、好きなゲームのフレメのグループを作って募集掲示板に掲げました。
…今思うとうつ真っ盛りとは思えぬくらいめっちゃ行動的ですよね。
こういうところだけ取り上げて「うつは甘えだ!」なんて言う人がいらっしゃると思います。
傍から見たらたしかにそうです。
でもそうじゃないんですよね…。うまく言葉に出来ない。
こればっかりは体験してみないとわからないだろうなぁと思います。
私もうつ病にならなければ「あれさぁ、うつって結局甘えじゃん?」とか口走っていたかもしれません。
しかし、その謎の行動力が今後の私の運命を大きく左右するということを
当時の私は知るよしもなかったのでした。